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同じクラスの千紘からの手紙

大学に合格して入学式まで手持ち無沙汰で退屈していたある日のこと。自宅の郵便受けに一通の手紙が入っていた。封筒に差出人の住所氏名がない。捨ててやろうかとも思ったが宛名の字に何か見覚えがあった。部屋で開けてみると一番下に住所と「千紘」という名前。ふと思い出したのが高校時代2年3年と同じクラスだった女子だった。背はそんなに高くなかったが、わりとほっそりとしていてスタイルは悪くなかった。男と喋っているのは見たことがなかったが、女友達とはにぎやかに喋る、いわゆる普通の女子高生といった感じだった。俺は特に話をしたこともなかった。
 
けっこう女子にモテていた当時の俺は、一つ年下の子と付き合いながら、同級生や他校の女生徒ともこっそり遊ぶという当時はやった「プレイボーイ」という言葉を地でいっていた。だから同級生だからといって自分が特に興味を覚えない限り口を利くこともなかったのだ。
 10日ほどしてからまた「千紘」から手紙が来ていた。前のただの消息文みたいな手紙と違って、今度の手紙は少し分厚く、読めばどうやら俺のことが好きで俺に会いたいらしい。高校時代なら女に不自由してなかったので何とも思わなかったが、この2年ほどは風俗関係を除くとまともに付き合ったのは最近別れた年上の女くらいで、いわゆる「シロウトとのH」はその1人だけという情けなさだった。「千紘」がどこまで本気なのかどうか分からないが、この時はまあ一度会ってもいいかと思った。そこで俺は「千紘」に返事を出した。「じゃあ、一回会おうか?」という感じの軽い内容だったが、最後は待ち合せの日時と場所を書いて終わった。会う日まで卒業アルバムなんかを引っ張り出して「千紘」を探してみたり、どんな子だったか記憶を掘り起こしてみたりと、このときに限って俺にしてはけっこう純情路線を行っていたのだった。
 待ち合せにはわざと少し遅れて行ってみた。どこにいるのか分からない!誰かを待っている女はたくさんいる。しかし、俺が頭の中に入れている「千紘」のイメージに合う女は見当たらなかった。まだ来ていないのか?それとも俺はハメられたのか?俺らしくもなくウロウロしていると後ろから誰かが肩を叩いた。
「A君、久しぶり!!」
 振り向くと、ほっそりとした体つきのショートヘアーのいかにも女子大生っぽい女の子がニッコリ笑って立っていた。白っぽいジャケットに水色のブラウス、デニムの丈の短いスカートからスリムな脚が伸びている。膝下までブーツに覆。お洒落だな!美人ではないが少し薄めのメイクは全体のバランスが取れている。「千紘」ってこんな子だった?俺があまりジロジロ見ているので
「どうしたの?何か変!!」
「変って、どこが?」
「だって、さっきから立ったまま何も言わずにじぃっと見ているだけなんだもん」
「いや久しぶりだし、スゴくお洒落だから驚いて・・・」
「私ね、大学を一年でやめて今スタイリストの勉強してるんだ」
 なるほど変わったはずだ。俺みたいな落ちこぼれと違って千紘は学年でもトップクラスでどこかの国立大に受かっていた。でもそれがどうして?とりあえず喫茶店でお互いのこれまでの話をしてから、俺は千紘がどうして急に俺に会おうと思ったのかを聞いてみた。
「高校の時A君が好きだったから!」
「えっ?」
 千紘がいともあっさりと告白したので俺は言葉の返しようがなかった。言葉に詰まっていると
「ずっと好きだったんだよ。ほら、試合で授業抜けた時机の中にノート入ってたでしょ?覚えてる?」「あ、あれ・・・」
「ほんとに覚えてた?あれ全部私だったんだよ」
 確かにそういうのが高2の秋くらいからあった。欠点取りそうな時にあのノートで助かったこともあった。そうか!!あれは千紘だったのか!!俺は何か急に嬉しくなった。
「何で言わなかったの?俺、誰がしてくれてたかわからなかったけど、けっこう感謝してたんだ」
「だってぇ、A君あの頃モテモテで、私なんかがしゃしゃり出たら周りからボコボコだったよ」
「そうか、悪いことしたなぁ。お礼のひとつも言わないで」
「ううん、あれはあれでいい思い出。今日こうして会ってくれたから全部帳消しにしたげる」
 千紘がけっこう飲めるということを聞いて、俺は彼女をすぐ近くのビアホールに誘った。この時は何の下心もなく、千紘ともっといろいろと話をして過ごしたかったのだ。千紘はほんとうによく飲んだ。この華奢な体のどこに入るのかと思うほど、大ジョッキでグイグイ飲んでいる。俺も一緒に飲んで話をして笑っているうちに夜になった。店を出るともう暗くなっていた。店を出てからは急に俺たちは黙りこんで二人肩を並べてネオンが瞬く通りを歩いていた。ふと見た千紘の横顔が何ともかわいく見えた。通りが途切れて少し暗くなったところで俺は立ち止まり「千紘」と呼んでみた。俺より少し背の低い千紘は振り返り、俺を見上げた。もうたまらなくなって俺は千紘を抱き寄せるとキスをした。力を入れて抱き締めると
「A君、苦しいよ」
「ごめん、でも千紘があんまりかわいいから・・・」
 俺の股間はこの時初めて千紘に反応した。勃起してどんどん硬くなっていく。当然千紘は気づいているはずだ。どうしよう、今日会ったばかりで、しかも千紘は今まで俺が抱いてきたような軽い女ではない。俺の心が迷っていると
「A君・・・A君がいいんだったら・・・私A君に抱かれてもいいよ」
 千紘の途切れ途切れの言葉は完全に俺に火をつけた。千尋の肩を抱くとそのままホテルの方に歩いて行った。千紘は少し伏目がちに歩いていた。しばらく行くと何度か入ったことのあるホテルの前に着いた。
「入ってもいい?」
 千紘はこくりと頷いた。歩いて入る入り口は車での進入口の脇にあってしかも狭くて目立たない。そこをくぐるとエレベーターの扉がある。ボタンを押すと扉が開く。中に入るとタッチパネルがあってそこで部屋を選ぶようになっていた。休日だけにけっこう詰まっていた。とりあえず空いている部屋の絵を押すと扉が閉まってエレベーターが動きだす。俺はエレベーターの中で千紘を抱き寄せた。千紘は俺に体を任せるようにもたれかかってきたので、危うくよろめいて倒れるところだった。扉が開くと正面の廊下の電飾が流れるように動いて部屋に案内する。それをたどるとドアが光っていた。そのドアを開けて千紘を先に入れた。ひょっとして・・・と思った俺は聞いてみた。
「初めて?」
「何が?」
「何って・・・するの」
「やだぁ!そんなこと聞くの?・・・実は初めて。今時じゃないでしょ。もうハタチ過ぎてんのに」
「ホントに初めてで、俺でいいの?」
「うん」
 立ったままでこんな会話を交わしていたが、実は俺も処女はこの時が初めてだった。今まで何人もの女とエッチしてきたたが、千紘のような真面目な女も処女も初めてだったのだ。
「千紘から先にシャワーする?」と言うと
「A君先に入って」と言うので俺から先にシャワーを浴びることにした。
 シャワーをしながら、これからどうしようかといろいろ考えた。しかし、考えてやるのも馬鹿みたいなので、さっさと洗うべきところを洗ってベッドに戻った。もちろん全裸で腰にバスタオルを巻いただけの格好だ。
「お先」と言うと
「じゃ私もシャワー浴びよ。汗かいちゃったから」そう言ってバスルームに入った。
 扉が開いたままなのでそっと覗いてみた。スカートを脱いでブラウスのボタンを外していた。後姿だったが水色のブラウスが眩しく見えた。と、その時鏡の中で俺たちの眼が合ってしまった。
「もう、T君たらぁ!何してんのよ、そんなとこで」
「千紘の脱いでるところが見たかったんだ」
 俺は後ろから千紘の細い体を抱きしめ、ブラウスを脱がせ、ホックを外してブラジャーも取った。体は細くても乳房は普通の大きさだった。いつの間にか俺のバスタオルは床に落ち、全裸の俺がストッキングだけになった千紘を抱きしめているのが鏡に映っていた。両方の乳房を揉みしだき、乳首を指の先で転がしながら首筋にキスをする。俺の完全に勃起したペニスが千紘の臀部の割れ目の上あたりに当たっている。俺はわざとタイツ越しにペニスを押し付けるようにした。千紘は少し息を荒くし始める。何か甘い臭いのする女性が感じた時の独特な吐息が千紘の口から漏れている。俺は思い切って千紘の掌を掴んで俺のペニスを握らせた。その瞬間電気が流れたように千紘の体はビクッと動いて硬直した。そして俺は後ろからパンストに包まれた千紘のかわいらしいヒップをゆっくりと撫でた。そのうち二本の指をヒップの割れ目から少しずつ前の方に移動させ、あの部分を撫で始めるとまた千尋の体はビクッと動いた。やっぱり初めてなんだ!おれは始めての処女にうれしくなってその場に跪くとウエストゴムに手を掛けて足首まで引き下ろした。足首から抜き取る時、千紘は代わる代わる足を上げた。その度にまだ誰にも触られていないあの部分が見えた。俺は立ち上がって千紘にこっちを向かせると抱きしめてキスをした。キスしながらあの部分に手をやるともう濡れていた。
「濡れてるよ、千紘のア・ソ・コ」
「A君がエッチなことするからだよ。もうシャワーさせて」
 俺は千紘を解放するとベッドに戻り枕もとの明かりだけにして部屋のライトを消した。そして先に布団にもぐりこんだ。やがて千紘がバスタオルを纏ってベッドに来た。そして、そのまま俺の隣に入ってきた。バスタオルはすぐに外され、ベッドの中は全裸の俺と千紘が抱き合った。もう一度ゆっくりとキスをし、かわいらしい乳房を揉んだり舐めたりした。俺は千紘のあの部分に指を這わせ少し中まで入れてみた。経験のある女と違って突起は小さい。愛液でヌルヌルになった入り口をゆっくりと擦るように愛撫しているうちに、千紘は足をよじるようにして「アッ、ウ~ンンッ」と声を出し始めた。俺のペニスは痛いほど硬くなっている。千紘も充分に濡れていた。まずは千紘にとっての初性交だ。俺は枕元にあるコンドームを付けると千紘の狭い入り口にあてがい、少しずつ入れていった。
「クッ、クッ」
 千紘は顔をしかめるように、何かを我慢している。
「痛い?やめようか?」
「ううん、大丈夫。して」
「痛くないようにするけど、痛かったら言って」
「うん、ありがとう」
 俺はもう一度ゆっくりと入れていった。さすがに窮屈だ。俺は千紘の胸や腋の下などを撫でたりキスをしたりして、できるだけ千紘の気を紛らせようとした。そしてペニスが半分ほど収まったところから一気に腰を押し付けて膣の奥まで入れることに成功した。
「アア~アァンン」
 千紘は悲鳴にも似た声を上げた。
「全部入ったよ。わかる?」
「うん、何となく」
 千紘は恥ずかしそうに色白の顔を赤らめた。そしてその時初めて自分から両腕を俺の背中に回して抱きついてきた。俺は腰の動きを少し速めた。窮屈な感じが少し楽になったような気がした。
「ウンッ、ウンッ」
 俺の腰の動きに合わせるように千紘は声を出す。千紘の膣のきつさが俺の快感を倍増した。もう限界が近い。
「千紘、俺もうイクよ、もう出してもいい?」
「いいよ、A君出して!千紘の中で出して」
「ああ!もうダメ、出る、出る!!」
 俺はいっそう速く腰を振りドビュッ、ドビュッと千紘の中で射精した。俺は生まれて初めて処女の膣の中で射精した快感と感激でしばらく千紘に抱きついたままだった。千紘は俺の胸に顔をうずめるようにしてやはり俺に抱きついていた。あまり長く放っておいて中で精液が漏れたりしたら大変なので、俺はゆっくりと体を起こすと
「千紘はよかった?」
「何かわからない。でもA君が初めてでスゴくよかった!」
 俺はゆっくりとペニスを引き抜いた。コンドームに赤い処女の印が付いている。後始末を終えると千紘を横様に抱き寄せた。そして長いキス。もう千紘も俺の舌に自分の舌を絡ませる。千紘は少し柔らかめになったペニスを握り、俺は千紘のあそこを優しく撫でた。
「こんなのが入ったんだ。スゴいね」
「千紘のここはきつかったよ」
「緩いのってダメなんじゃないの?」
「そうだよ。だから千紘のはよかったんだ」
 こんな会話を交わしながら互いに触りあっているうちに、俺のペニスはまたムクムクと大きくなってきた。千紘のあそこもまたヌルヌルと愛液を出していた。
「もう一回する?」
「うん、して」
 今度は挿入する前に時間をかけて千紘の感じそうなところは全部指と舌で愛撫した。やはり入り口の突起が一番感じるらしく、「アウゥン、アウゥン」と切ない喘ぎ声が漏れ始めた。相当感じている!さらに攻め続けると体をくねらせて
「アンッ、アンッ、何か変になっちゃいそう」
 舌であそこを攻める俺の頭をわしづかみにしながら体をのけぞらせる。
「イイィ~ッ、イイィ~ッ」
 今までとは違う声を出したかと思うと、千紘は全身を痙攣させるように両足を突っ張って体を大きく反らせて、そして静かになった。
「ハアッ、ハアッ」
 千紘は目を閉じたまま息を荒げていた。どうやらイッたらしい。
「イッたの?」
「うん、何か気が遠くなってどこかに飛んじゃったみたい」
「それをイッたって言うんだよ。今度は俺がイク番」
 コンドームを素早く被せるともう一度正常位で挿入した。今度はもっと深く入るように千紘の両足を上げさせて、足首を俺の肩に乗せた。こうすると俺のペニスが千紘のあそこに出入りするのも見えてスゴくいやらしい体位だ。
「アッ、アッ、アッ、アッ、いいよ、A君いいよ」
 千紘は感度のいい女だ。もうオルガスムスを得るようになっている。千紘の表情を見ながら腰を前後させているうちに俺もまた射精感を覚えた。
「千紘、出すよ」
「アンッ、アンッ、A君出して、出して!イイィ~ッ、イイィ~ッ」
 俺の両腕をギュッと掴んで体をのけぞらせた。次の瞬間俺もドビュッとこの日二度目の射精を終えた。千紘はグッタリとしている。俺もこんなに激しいエッチは久しぶりだったので虚脱感に陥っていた。後始末をしてから二人抱き合ってしばらくの間じっとしていた。
「千紘、気持ちよかった?」
「うん。A君は?」
「スゴくよかった!!」
「よかった!A君とエッチできて。ほんとによかった」
 この夜、俺たちはもう一回やってからホテルを出た。久しぶりの三連発はちょっときつかった。
 それから千紘とはお互いの時間を合わせて会った。会えばいつも激しく求め合った。2年間こういう関係が続いたが、その間俺は他の女に一切手を出さなかった。しかし、千紘がスタイリストとしての成功を賭けて東京に行くことになり、俺は俺で就職活動が始まって別れることになった。ただ、運命とは不思議なもので、それから10年後東京でたまたま千紘に会った。そして朝まで貪るように求め合ったのがきっかけで付き合いが復活し、現在千紘は俺と一つ屋根の下で女房として暮らしている。
 

---


「あれっ、似てるな!」
 あるスポーツイベントの取材で千駄ヶ谷駅の改札を出たときだった。三つほど向こうの改札口に向かって小走りで駆け抜けた女性。他人の空似?振り返ったがその女性はもう人波に紛れて見えなくなっていた。千紘に似ていた。

 千紘と別れて10年。俺は一応そこそこの大学に行ってたおかげで大手マスコミ関係(M新聞社)に就職することができた。取材や何やらで女を作るどころではなかった。仕事がしんどくて風俗関係に首を突っ込むこともしていない。いつの間にか俺は女と無関係な生活を強いられ、またそれに甘んじることが続いて、ここ3年ほどは朝立ちもなくインポの手前になっていた。ふと気づいたらとっくに30を過ぎていた。
 実は、俺には父親の知り合いの紹介で付き合い始めていた女性がいる。別に好みのタイプでもなかったが、30過ぎで独身の子を持つ親同士の思惑が一致したらしく、結婚を前提(俺はまったくその気がなかったが)で付き合い始めて4ヶ月。相手は小学校の先生だが俺は土日も無関係で関西圏を中心にあっちこっちに飛び回る記者ということでデートもろくにしていない。メールのやり取りとたまに食事をするくらい。エッチとは程遠い「健全な」付き合いだったのだ。

 千紘によく似た女性(ひょっとして幻?)を見た夜、俺のペニスは久々に痛いほど勃起した。ビジネスホテルの有料チャンネルを見ながら自分でしごく。妄想は千紘のあの部分に突っ込んでいる俺。AVの声が千紘の声に聞こえてくる。たまらなくなってドビュッと射精。情けねぇ!!32にもなってこれかよ!!・・・・・そんな情けない夜を二晩過ごした後のこと。
 仕事を終えて大阪に帰ろうとしたとき、まるで何かに惹かれるように総武線に乗り換えた。そして千駄ヶ谷駅を出るとき俺はほとんど無意識に千紘に似た女性を探していた。駅を出て通りを渡ろうとしたときだった。白いブラウスにすらりとしたグレーのパンツスタイル。バッグを肩にかけて向こうから歩いて来るのは間違いなくあの千紘に似た女性!!通りの真ん中ですれ違う。すぐに俺は振り返った。すると、なんと向こうも振り返っていた。間違いない!!
「千紘!!千紘だろ?」
「A君?ホントにA君?」
 俺は弾かれたように千紘に駆け寄ると両手を握った。千紘も握り返す。そのうち信号が変わって左右の車が走り出した。俺たちはセンターラインの上で次の信号が変わるまで無言のまま手を取り合って立ちすくんでいた。
 彼女の東京でのこと。俺のその後。お茶でもしながらそんな話に花を咲かせる・・・というのが普通の再会のスタイルだが、俺たちは違っていた。俺も千紘も何かがまた燃え出していた。まだ夕方で明るかったが俺たちは人目も気にせず歩道で抱き合った。
「A君いいの?こんなことしてて」
「千紘こそ」
「・・・・・」
 俺は千紘の沈黙が気になった。俺には付き合い始めた女性がいるとは言っても手を握ることもしていない。ひょっとして千紘にはもうダンナでもいるのでは?千紘の細い体を抱きながら俺は不安になった。俺たちは体を離すと並んで歩道を歩く。
「今日は仕事帰り?」
「うん。A君は?」
「俺は今日まで出張でこれから戻るとこ」
「そっかぁ。じゃあもう帰っちゃうんだ」
「・・・・・」
 今度は俺が黙り込んだ。ほんの何分かだったがとても長い時間が過ぎたような気がした。俺は言いたいことが言えない。しかし、その理由が千紘に伝わったようだった。
「A君さえよかったら・・・今夜は一緒にいたいな」
「えっ?千紘はそんなことして大丈夫なの?」
「大丈夫・・・かな?」
 意味深長な言い方をしてクスッと笑った。俺はタクシーを拾って適当に行き先を告げ、流れる景色の中からホテルのサインを探した。俺はまるで十代の若いヤツのように胸が高鳴っていた。それと同時に股間にズキズキとした高まりを感じていた。千紘の手を握る。そして小指でくすぐるような動作をするとギュッと握り返してきた。握った手を千紘の太股の上に載せる。そして小指で内腿を撫でる。千紘はピクッと反応した。今度は俺のズボンのすっかり膨らんだところに載せる。そしてゆっくりと前後させた。千紘は俺を見上げるように見つめている。その目は潤んでいてもう感じている表情だった。
「欲しくなった?」
 無言で小さくうなずく千紘。ホテルのネオンサインが二つ三つ見えたところでタクシーから降りて、そのうちの一つに入る。
部屋に入るや俺は千紘を思い切り抱きしめた。そしてキスをした。何度も何度も唇をむさぼりあう俺たち。そのままバスルームに向かう。お互いに脱がし合うのも久しぶりの刺激だ。千紘と初めてホテルに入ったときのように下着姿で抱き合う。ブラジャーのホックをはずすと俺は乳首にむしゃぶりついた。片方を指先で転がしながら、舌先で攻める。漏れてくる「ウン、ウン」という声も昔と変わらない。両手はウエストから相変わらずかわいらしいヒップへ。パンストに包まれたヒップを両手で撫でながら右手を前から股間に滑り込ませた。ショーツ越しにもう濡れているようなグニュグニュした感触が伝わってくる。「ハアッ、ハアッ」千紘は息が荒くなりよろめくように洗面台に手をついた。俺はパンストのウエストに手を掛けるとショーツごと引きおろして脱がせ、あの部分に指を持っていく。もう十分に濡れていた。先のほうの敏感な突起に触れると「アンッ」と声をあげて体をよじる。そのしぐさがたまらない。しばらく指先で千紘を感じた後、ゆっくりとキスをした。
 今度は千紘が俺のトランクスに手を入れてくる。もう先っちょから我慢汁で溢れそうな俺のペニスを握ってゆっくりとしごく。そして床にひざまずくとトランクスを引きおろして口に含んだ。俺はこれまで口でイカされたことはあまりなかったが、この夜は違った。千紘の攻め方も何か激しかった。亀頭の裏側の敏感な部分に千紘の舌が何度も何度も絡みついてくる。俺の下腹部はもうすでに締めつけられるような射精感が襲いかかってきていた。俺はどちらかというと膣の中で射精したいという気持ちが強い。まして千紘とは10年ぶりのエッチだ。千紘の中で出したかった。が、遅かった。今までためにためたものが一気に放たれたような、ものすごい開放感とともに、全身鳥肌が立つような快感が爆発した。ビクビクと何度も脈打ちながら千紘の口に射精してしまった。スゴイ量だったに違いない。
「ウッ・・・A君・・・スゴイ!!」
千紘はむせながら俺の精液を全部飲み干してくれた。
「ゴメン。俺、がまんできなかった」
「いいよ。私もA君に口でイッてほしかったから」
 俺たちはシャワーするとすぐにベッドで抱き合った。もう一刻も早く千紘と一つになりたかった。千紘もまたそれを求めていた。千紘のほっそりとした足を開くとペニスをゆっくりと入れていく。「アッ、ア~ン」声を出しながら俺の両腕をギュッとつかむ千紘。正常位のまま腰を振る俺。「ハアッ、ハアッ」よいう息遣いとつながっている部分からもれる「クチュッ、クチュッ」といういやらしい音が部屋に満ちている。さっき一度口で出しているのでなかなかイク気配がない。そのうち千紘のほうが先に上りつめたようで、上半身をよじるように動く。
「アア~ン。A君いいよ、いいよ~ッ!!」
「千紘イクの?イクの?」
「A君は?」
「俺はまだ大丈夫。千紘、イッていいよ」
「アアッ、イク、イク・・・イッちゃうよ~」
 千紘は俺の両腕につかまったままのけぞるように体を痙攣させた。千紘の膣がピクピクしながら俺のペニスを柔らかく締めている。俺は上から千紘を抱きしめると、千紘も両腕を俺の首に回して抱きついてきた。俺の耳元で「ハアッ、ハアッ」と千紘の切ない息遣いがささやくように聞こえる。そのうちに俺にもイキそうな気配がやってきた。このときコンドームをしていないことに気づいた。さっき千紘の口で感じたよりももっと強い快感の前兆が俺のペニスの根元に渦巻く。射精感が走る前に俺は引き抜こうとしたが、千紘は両足を俺の腰に巻きつけるようにした。
「千紘、俺もう出そう!」
「いいよ。出して。私の中でイッて」
「ゴムしてない」
「いいの。中で出して」
「アッ!!イクッ!!」
 俺は何とかして抜こうとしたが、最初の射精に間に合わずそのまま千紘に押し付けるようにしてドビュッ、ドビュッと千紘の膣の奥深くめがけて射精してしまった。
「よかったの?ホントに中で出して?」
「ウン。今日は何か大丈夫な気がしたから」
「でも、できたらどうすんの?」
「そのときは、そのときの話だよ」
 昔と変わらないあっけらかんとした物腰は俺が一番千紘に惹かれたところだ。実際には妊娠しなかったのだが、もしもできてしまったら・・・などと男の俺のほうがクヨクヨしていた。

 お互いに次の日の仕事の関係でその日は泊まるわけにいかなかったので、名残を惜しみながら後一回だけ(今度はちゃんとコンドーム付きで)した。
 Hの合間にいろいろと話もしたが、実は千紘もこのとき同じ業界の年下の男と同棲中だった。ただ、お互いの仕事のスケジュールが合わず、同棲とはいっても家賃を割り勘しているみたいなもので、エッチも慌しくて今日のような濃いエッチは久しぶりだったらしい。
「やっぱり私の体はA君が一番しっくりしてるよ。何しろ初めての人だし」
「俺も千紘が一番だよ」
「ホント?何か怪しいな。正直に言って。この10年で何人と寝たの?」
「信用されてないな。信じられないかもしれないけど就職してからはゼロ!」
「それって風俗関係も含めて?」
「そうだよ。千紘は?」
「今の彼で4人目。でもみんな半年くらいで向こうから出て行くんだよ」
「今の彼とは?」
「そろそろって感じかな」
 俺たちは互いの住所とメルアドを交換しこの夜は別れた。

 俺は帰るとすぐに実家に戻り、親父が激怒するのを覚悟で例の女性との交際を止めることを告げた。大して付き合ってもいなかったのに相手方はソノ気満々だったらしく、後がけっこう大変だった。しかしこれで俺は晴れてフリーとなった。
 一方、千紘は自分から別れを切り出し、ついでに所属していた事務所も飛び出して関西圏を拠点とする某芸能プロダクションの、しかも某売っ子タレント専属のスタイリストとなった。俺は知らなかったのだが千紘はこの業界では有名になっていたらしい。雑誌やテレビにも登場している。

「エヘッ、飛び出しちゃった」
 その朝千紘は突然俺のマンションにやってきた。俺はすでに出勤準備万全の状態だったが、玄関先で千紘と抱き合ってキスをするともうがまんできなかった。
「ちょっと待って。会社に電話するから」
 俺はポケットから携帯を取り出すと上司に体調不良を理由に欠勤する旨を告げた。
「あらら、悪い子。会社サボっちゃうんだ」
「千紘が悪いんだよ」
 そう言うと俺は千紘のスカートをまくり上げてあの部分に指を突っ込む。千紘もズボンのジッパーを下ろしてすっかり勃起した俺のペニスをつかむ。俺はグレーのコートに赤いチェックのスカート、黒いタイツにブーツという姿の千紘を左手で抱き寄せるようにして、右手はスカートの中をまさぐっている。千紘はスーツ姿の俺を同じように左手で抱き、右手はズボンの前を開いて中でうごめいている。朝っぱらから玄関で何ともいやらしい光景だ。
「A君したい?」
「したいに決まってるだろ」
「ゴムは?」
「あっ、用意してない」
「ふ~ん。やっぱりまじめに記者さんやってるんだ。はい、これ」
 何と千紘がポケットから銀色の四角い例の包みを取り出した。千紘は初めからここに来るとすぐにエッチするつもりだったようだ。俺は嬉しくなりさっさとコンドームを付けると千紘に向こうを向かせてスカートをまくりタイツとショーツを膝まで下ろすと、もうすっかりグショグショになったあの部分にペニスをぐっと押し入れた。自分の家とはいえこのいやらしいシチュエーションに刺激されて俺たちは激しく絶頂を迎えた。
「千紘、イクよ、イクよ!!」
「いいよ。イッていいよ。A君、私もイッちゃう」
 俺は後ろからしっかりと千紘を抱きしめてドビュッと思い切り射精した。千紘も俺の腕にしっかりとしがみついて「ウ~ンッ!!」と声を上げて体をのけぞらせた。このとき誰かが玄関先にいたら声を聞かれていただろう。しばらくは立ったまま重なっていた。もう離れたくなかったのだ。
俺たちはこの日婚姻届を出しに市役所に行った。


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